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2018/10/11

ジョージ・オーウェルが、スペイン戦争のなかでみた唯一の救いは「水晶の精神」を持った無名の義勇兵の存在だった!


ジョージ・オーウェルの有名な「カタロニア讃歌」は、あるイタリア人義勇兵に出会った時のエピソードから始まる。


義勇軍 に 入隊 する 前日、 私 は バルセロナ の レーニン 兵営 で、 イタリア 人 義勇兵 が ひとり、 将校 たち の すわっ た テーブル の 前 に 立っ て いる のを 見かけ た。 二十 五、 六 の たくましい 顔つき の 青年 だっ た。 髪の毛 は 赤み を おび た 黄色 で、 がっしり し た 肩 を もっ て い た。 先 の とがっ た 革 の 帽子 を、 片方 の 眼 が かくれる ほど ぐいと 引き 曲げ て かぶっ て いる。   こちら から、 あご を 強く 引い た 横顔 が みえる。 彼 は、 将校 の ひとり が テーブル の 上 に 広げ た 地図 を、 途方 に くれ た よう に 顔 を しかめ ながら じっと 見つめ て いる の だっ た。 その 顔 は、 なぜ か 私 を ひどく 感動 さ せ た。 それ は、 友だち の ため なら 喜ん で 人殺し も する し、 命 も 投げ出す、 といった タイプ の 男 の 顔―― アナーキスト( 無政府主義者) に よく ある、 あの タイプ の 顔 だっ た。 もっとも、 ひょっと する と この 男 は 共産主義 者 だっ た かも しれ ない が。 率直 さと 残酷 さ、 それに、 無学 な 連中 が 自分 たち より えらい と 思っ て いる 人 たち に みせる、 あの 痛ましい ほどの 尊敬 の 念 の まじっ た 顔 だっ た。 み た ところ、 奴さん、 地図 が チンプンカンプン なの らしい。 どうやら、 地図 読み なんて 頭 を 使う 大した 芸当 とでも 思いこん で いる 様子 で ある。 なぜ か 知ら ない が、 私 が こんなに ひと目 で 好き に なっ て しまっ た 人―― 好き に なっ て しまっ た 男、 という 意味 だ が―― に 出会っ た のは、 ほとんど それ が 初めて だっ た。 彼ら が テーブル を 囲ん で しゃべっ て いる うち に、 何 かの はずみ で 私 が 外国人 で ある こと が わかっ た。 する と、 その イタリア 人 は 顔 を あげ て 早口 で きい た。 「イタリア 人 か?」   私 は へた な スペイン 語 で 答え た。「 いや、 イギリス 人 だ。 君 は?」
「イタリア 人 だ」   われわれ が 部屋 を 出る とき、 彼 は 部屋 の 向かい側 から つかつか と 歩い て 来 て、 私 の 手 を いきなり ぎゅっと 握りしめ た。 はじめて 会っ た 人 に こんな 愛情 を 感じる なんて、 ふしぎ だ なあ!   それ こそ、 まるで、 彼 の 魂 と 私 の 魂 が 一瞬、 言葉 や 伝統 の 障害 を 飛び越え て ぶつかり 合い、 ぴったり と ひとつ に とけ 合っ た みたい だっ た。 私 は、 彼 の ほう でも、 同じ よう な 好意 を 私 に 感じ て くれ た もの と 思っ た。

ジョージ・オーウェル. 「カタロニア讃歌 」の冒頭より




オーウェルには、スペイン戦争後に書かれた「スペイン戦争を振り返って」という小論がある。
そのなかで、スペイン戦争とはいったい何だったのか、をいろんな問題点をあげて問いただしている。

そして、「カタロニア讃歌」の冒頭で記した、あのイタリア人の義勇兵に触れて、彼のような存在こそが、ヨーロッパの労働者階級の最良の模範であり、圧殺された無数のひとたちの声を代弁しており、スペイン戦争の本質そのものを表象しているのだと述べている。


この ひとり の 男 が どの よう な 結末 を 迎え た のかを 考える と いくら かの 胸 の 痛み を 感じ ず には い られ ない。 彼 と 出会っ た のは レーニン 兵舎 だっ た から、 彼 は おそらく トロツキスト か 無政府主義者 だっ た はず だ。 現代 における 特異 な 状況 では こうした 種類 の 人々 は 普通、 ゲシュタポ では なく GPU によって 殺さ れる の だ。 しかし それ は 長期 的 視点 に 立っ た 争点 に 影響 を 与える こと は ない。 ほんの 一、 二分 しか 見 て い ない この 男 の 顔 は、 この 戦争 が 本当は 何 を 争っ て いる もの なのか について の 一種 の 視覚 的 メモ として 私 の 中 に 残っ て いる の だ。 私 にとって 彼 が 象徴 する のは ヨーロッパ の 労働 階級 の 最良 の 模範、 あらゆる 国々 の 警察 によって 責め立て られる 者 たち、 スペイン の 戦場 に ある 集合 墓地 に 埋め られ た 人々、 そして 現在 において は 強制収容所 で 朽ち果て つつ ある 数 百万 の 人々 の 声 なの だ。

ジョージ・オーウェル. 「オーウェル評論集5: 鯨の腹の中で」収載の「スペイン戦争を振り返ってより」より抜粋


(注)上の文章のなかのGPU(ゲーペーウー)とは、ソ連の秘密警察のことで、ここでは、スターリニストソ連の影響下にあったスペイン共産党によってクーデター的に乗っ取られた共和国政府の「治安秘密警察」を指す。共産党以外の無数の反フランコ義勇軍兵士(POUMやアナーキスト系の兵士)たちが、突如逮捕され、拷問を受けて虐殺された。


オーウェルは、この、非共産党系の義勇兵であったために、おそらく秘密警察に殺されたであろうイタリア人の義勇兵へ「レクイエム」を捧げた。
彼のことを「水晶の精神」を持った人物として讃えている。


イタリア 人 兵士 は 私 の 手 を 握っ た
衛兵 の 詰め所 の テーブル の 横 で
力強く も 繊細 な 手 だっ た
実に 有能 な 者 の 手
銃声 の 中 の 出会い
しかし、 ああ!   なんと いう 心 の 安らぎ
彼 の 傷 だらけ の 顔 を 見つめる
どんな 女 よりも 無垢 だっ た!

私 の 口 から 飛び出す 腐っ た 言葉 にも
彼 の 耳 は 清い まま だっ た
私 が 本 から ゆっくり と 学ん で き た こと も
彼 には 生まれつき 知っ て い た こと だっ た

銃 が 信用 なら ない のは わかり きっ た こと で
私 たち は 二人 とも それ を 受け入れ て い た
しかし 私 の 手 に し た まがい物 の 金塊 は 本当に 金 で でき て い た の だ……
ああ!   誰 が そんな こと を 想像 し た だろ う?

君 に 幸 あら ん こと を、 イタリア 人 兵士 よ!
しかし 勇敢 で あろ う と 必ずしも 幸運 は 手 に 入ら ず
世界 は 君 に 何 を 返す だろ う?
それ は 決まっ て 与え た もの より 少ない の だ

影 と 亡霊 の あいだ で
白 と 赤 の あいだ で
銃弾 と 嘘 の あいだ で
どこ に 頭 を 隠せる だろ う?

マニュエル・ゴンザレス は どこ に?
ペドロ・アギラル は どこ に?
ラモン・フェネロッサ は どこ に?
彼ら の 場所 を 知る のは ミミズ だけ

骨 が 乾く 前 に その 名 と 行い は 忘れ去ら れ た
君 を 殺し た 嘘 は
さらなる 嘘 の 下 に 埋め 隠さ れる

しかし 私 が 君 の 顔 に 見 た もの は
どんな 権力 も 奪う こと の でき ない もの
どんな 爆弾 も 決して 砕く こと の でき ない
水晶 の 精神

ジョージ・オーウェル著「オーウェル評論集5: 鯨の腹の中で 」収載の「スペイン戦争を振り返って」より抜粋



(注)マニュエル・ゴンザレス 、ペドロ・アギラル 、ラモン・フェネロッサ は、ジョージ・オーウェルと同じ義勇軍部隊にいた顔見知りのスペイン人。彼らもPOUM(統一マルキスト労働党 )の義勇兵だったので、おそらく共産党支配下の共和国の秘密警察の手にかかって殺されたはずである。









ちょっと変わった「鶏肉と里芋の煮物」


20181010里芋と鶏肉の煮物


変わったレシピを見るとどんな味になるんだろう、と興味をかき立てられ作りたくなる。
ということでやってみた。

どこが変わっているかというと、ニンニクで鶏肉を炒めていること、とオイスターソースをみりん代わりに使っていることである。

若者向きかな・・・


レシピは下記のとおり

鶏肉と里芋の煮物
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